小児末期の訪問診療について

Pediatric end-stage

10余年前より在宅医療を開始した当法人ではありますが、理事長である小倉行雄医師の出は名古屋大学小児外科教室であり、彼の夢は「小児医療と在宅システムの橋渡しをすること」でありました。この10年間は在宅医療 = 高齢者医療という一般的な概念の上に成り立って当法人は在宅医療を推進してきましたが、ついに理事長の夢がかなう時がやってきました。

そう、小児在宅末期医療の幕開けです。

元来、小児の末期患者様は治療をあきらめることはできない為、最後まで病院で病と戦いつづけ、そして志半ばにしてこの世を去る事が一般的でした。
いや、過去形ではなく、たぶんそれは現時点でも同じことが言えるでしょう。
しかし、在宅医療が進歩した現在では、経管栄養にしても、人工呼吸器にしても、在宅中心静脈栄養、麻薬による疼痛コントロールにしても、機器の進歩により在宅で行うことができる患者様が増えているように思います。もちろん、小児の場合、どんな悪性疾患でも治療を最後まであきらめることはできません。一筋の光を目指して命をつなぎとめたい気持ちは患者様家族も我々医療者も気持ちは同じです。しかし、白い天井を見続けての入院生活という時間を家族や兄弟姉妹のいる「我が家」に置きかえての療養、強いては、点滴や麻薬製剤をつかってでもできる、家族旅行や親子水入らずの時間を過ごすことは不可能なことなのでしょうか?

私理事長は思いました、「不可能を可能に変えてみせる」と。
平成29年、夏、2人の尊い命は私の医療手腕に委ねられました。1人は30歳女性の末期の呼吸器疾患患者、もう1人は6歳男児の悪性腫瘍末期患者。我々は全力を尽くし、様々なことを在宅で行いました。

在宅で輸血を行いました。
在宅で、化学療法を行いました。
在宅で中心静脈ルート確保を行いました。
在宅で麻薬製剤パッチを使いました。

患者様が新幹線に乗り、ディズニーランドに行ける手配を綿密に行いました。
レゴランドにも行けました。
家族で入浴もできました。
最後まで兄弟ゲンカさせてあげました。
コーヒーソムリエの資格を自慢して貰いました。
そして貴重な「生」という時間を共有することで、最後の旅立ちに際して一緒に涙しました。
とにかく泣けました。

こんなつらい小児在宅末期医療なんて、今後は絶対に受けたくないと本心思ったこともありました。
でもみんな涙しながら最後に言うのです。

「本当にありがとうございました。」

これが私の歩く道だとその時悟りました。
私は外科医です。私は小児外科なのです。私は在宅医療を推進してきましたが、私がやるべき医療はここにあるのです。
当院は、理事長が疲れ果てて歩けなくなるまで、小児在宅医療を行ってゆく予定です。
もし御用命ありましたら、当方までご一報下さい。

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